滝口琳々先生方(姉妹でストーリーと作画を描かれているので)の作品は、「江東の暁」、「北宋風雲伝」、前者は三国志(歴史書の方)、後者は弱者を守る民衆のヒーロー伝、どちらも時代考証、ストーリーの骨格がしっかりした作品で、連載中は、コミック派の私は新刊が出るのを楽しみにしていました。
秋田書店の漫画誌プリンセス、プリンセスGOLDは、少女雑誌ながら、男性でも楽しめる読み応えのある作品を世に送り出しています。
日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した「アルカサル−王城−」(13世紀のレオン・カスティリア王国国王ドン・ペドロの生涯)や「妖精国の騎士」(アルフヘイムで白魔法を習得した、アルトディアスの王女で光の剣の担い手ローゼリィが主人公の、人間世界の壮大な戦国記)、これまでにない漫画が読めると期待させてくれた「クリスタル・ドラゴン」(いつ完結するのかなあ?今は「悪魔の花嫁」を連載しているし)など、少女漫画という枠でくくれない作品が多々あります。
この「新再生縁」は、もともとは元代に作られた物語だそうですが、元という国はチンギス・汗の子孫が建てた国の一つで、モンゴル族が支配民族とはいえ、有能であれば民族・宗教に関係なく高官にとりたて、ムスリムが財政を統括したりしたようです。
ヨーロッパからはジェノバの商人マルコ・ポーロ一行が来て重用されていますし。
いろいろな民族がいりみだれて役職に就いているわけですから、習俗や流行、宮廷官僚の役職や後宮の地位も確立されていなかったのではないでしょうか。
元代に科挙が行われていたかどうかは、私が読んだかぎり(といっても知れていますが)はっきりしません。そのため、「新再生縁」では時代を明代に置き換えて話しが始まります。
主人公の孟麗君は、萬貴妃に逆らい犯罪にとわれた父親を助けるため、男装し、'君玉の名で科挙を受験し、みごと状元となります。宮廷内の動向を探るためです。
その科挙の受験の直前、萬貴妃の手の者に人質にされかけた君玉は、河に身を投げ、「風流貴公子」に助けられ、ちょっぴりときめいて。実はこの人が成化帝の皇太子だったのです。
美青年の皇太子、同期に科挙に合格した劉奎壁もハンサム、1巻の最後に、萬貴妃直属の武官、皇太子暗殺の命を帯びた皇甫少華は、君玉の父親が決めた幼なじみ。しかも、幼い頃の鈍くささとは一変して、清々しい貴公子に成長し……しかも、幼い頃からずっと、孟麗君を思い続けているという一途さ。
君玉自身、美少年官僚だと宦官に目をつけられ……
後宮の権力争い、皇太子をめぐる陰謀、宮廷を牛耳る導士や僧侶、君玉の思いはどこへ?
京劇にもなっているそうですが、幸いにも(?)この話は知らないので、これからが楽しみです。私は、ラブ度が低く、政治・権力闘争を書ききってくれる作品が好みなのですが。
「再生縁」というタイトル、気になります。孟麗君が貞女であるなら、皇甫少華に操を尽くし、皇太子とは、「来世こそは共に…」なんてことにしないでください〜