グロテスクを描く作家はいます。
しかし、グロテスクを美しく描く作家はそうはいません。
美しい、ではおかしいとお思いでしたら、華麗、と言ってもいいです。
グロテスクを華麗に描くのが甲田学人であり、それが「断章のグリム」の魅力だと思います。
本書でも、クライマックスの病院での惨劇に、その本領が遺憾なく発揮されています。映画だったら単に目をそむけるしかないシーンが散文詩のように描かれていて、歓喜の声をあげそうになるではありませんか。
ただ、不満点もあります。
(1)前作の「いばら姫」あたりからでしょうか、つくりに映画的な手法が目立つようになってきました。その結果、計算が見えてしまう、というか、先が少し読めてしまって、なんと言いますか、寂しさを感じてしまうのです。
(2)ラストがあまりにもあっけない。たぶん、このラストに満足した読者は少なかったと思います。どんなに悲惨に見えても、蒼衣の願いがかなえられる方向で収束してほしかったですね。
あとがきによると、どうやらシリーズの終わりが近づいているようです。
このところ刊行の間隔が開くばかりです。
最後はびしっと4ヶ月間隔となるよう、祈っています。