梁 石日を読み始めて初期のころに読んだ1冊だったはずですがその怒級の展開にその頃呼んだ馳星周が吹き飛んだ記憶があります。花村萬月のようにこの人も明らかなノワール小説のくくりは嫌って、というかそんな小さな枠には収まりきらない器を持った作家の一人なんだと思う。
帯の解説からしていきなり、マリアは死にたいと思った、日本に来てその日から売春をさせられ覚せい剤で苦しみを忘れる日々。フィリピンからダンサーとして日本に来たはずのフィリピーナが騙され売られ地獄の底を見、借家を借りることもならず山手線の車両で仮眠を取る日々が描かれたかと思うと次には家族が崩壊してしまう在日朝鮮人の資産家。若くして人生がドン詰まりの代議士秘書、とまるで悪夢を紡いで作った絵図のように暗く深い闇を抱えた人々が活写される。この地獄絵図は本当にこの世のものか?
読後、絶望というものがここまで深いものかとただただ呆然とした記憶がある。闇の子供たちも文庫を買ったままになっていて実際、読むのが怖い。