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斜陽 ヤング・スタンダード (集英社文庫)
 
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斜陽 ヤング・スタンダード (集英社文庫) [文庫]

太宰 治
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

没落貴族の夫人、その娘と息子、そして無頼の流行作家-。流転する戦後を生きる彼らの華やかな生活の内に、“滅びの美学”を語る太宰の代表作。永遠のベストセラー。(解説・東郷克美/鑑賞・風間杜夫)

内容(「BOOK」データベースより)

敗戦後、元華族の母と離婚した“私”は財産を失い、伊豆の別荘へ行った。最後の貴婦人である母と、復員してきた麻薬中毒の弟・直治、無頼の作家上原、そして新しい恋に生きようとする29歳の私は、没落の途を、滅びるものなら、華麗に滅びたいと進んでいく。戦後の太宰治の代表作品。語註や著名人の「鑑賞」もついて感想文に最適。

登録情報

  • 文庫: 276ページ
  • 出版社: 集英社 (1999/6/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087520536
  • ISBN-13: 978-4087520538
  • 発売日: 1999/6/18
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
太宰の代表作ですから、内容に関してはいまさら解説するまでも無いでしょう。「斜陽」は没落貴族の物語ですが、主体が女性の語り口は、女性心理を知り尽くした太宰ならではの芸当なのかもしれません。実際この作品のモデルとなっているのは、ある女性が書いた日記なのだそうです。それをパクった訳ではありませんが、これを読んだ太宰がインスピレーションを得て「斜陽」は書かれたとの事です。

「斜陽」は、太宰作品に珍しいミステリー「犯人」に出てくる、三鷹駅すぐ近くの肉屋の「離れ」で書かれました。現在では三鷹駅周辺もすっかり変わり、いくつか在った太宰の仕事部屋跡も大きなマンションに建て替えられてしまいました。武者小路実篤や童謡「赤とんぼ」の作者・三木露風ら多くの文士・歌人が住んだ三鷹、しかし三鷹と言えば「太宰」です。毎年6月に禅林寺で催される「桜桃忌」には、熱烈なファンで溢れ返ります。まさにカリスマ作家。センセーショナルな生き様はあまりに強烈ですが、太宰の神髄は文学作品なのでありあの唯一無二の文体の魔術である事を、アウトローなれど偉大な文学者であった事を忘れてはなりません。

「太宰」入水自殺を報じる当時のニュース映像を観た事があります。現在の玉川上水は水嵩も低く、流れもほとんどありません。とてもこんな場所で人が入水自殺を図ったとは信じられません。町並みだけでなく自然環境も随分変わってしまった様です。現在の川べりは鉄柵で囲われていますが、当時は西洋の田園風景の様にのどかで美しい場所だった様です。太宰がお気に入りの川辺に腰を下ろしている写真を見た事があります。玉川に架かる紫橋から百メートル上流、太宰と愛人が入水をした場所、それがちょうど写真の辺りです。やはりそんな美しい場所を死に場所に選んだのだなあ、と哀しいけれど納得がいきました。やはり太宰は、最後の時までロマンと美学を見失わなかったのだと。

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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ドキドキ 2007/10/6
形式:文庫
あれは中2の頃、国語の授業で『走れメロス』を習って、そこそこ興味を持った私は「太宰が愛読書なの」と言いたかったからなのか、何も知らず、誰に薦められた訳でもなく図書館で『斜陽』を借りてきました。そして「これって良いの??」とドキドキしながら読み進めたのを覚えています。それまでの私が読んだ物語や小説とは全く違う世界がそこに横たわっていました。大人の世界を垣間見たような、嫌悪とも憧憬ともつかない思い。以来、太宰氏と秘密を共有してしまった風に勝手に思い込んで、次々と作品を読みはじめたのです。
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形式:文庫
身分のある家族の「滅びの美学」ということなのでしょうが、主人公かず子の戦後を生き抜くたくましさには驚きを禁じ得ません。新しい女性の生き方として、今現代に置き換えても少しも古く感じないことが、強く印象に残りました。

伊豆の別荘に住むことになってから、病気に弱る優雅な母を看るかず子が、やがて恋に恋する女性になっていく。その描写と言葉の美しさが、今も古さを感じさせない太宰文学の魅力なのでしょう。その弟直治が戦争から命をつないで家族の元へ帰郷。ところが貴族的な心根の優しさから彼は麻薬中毒に陥り、やがて姉への告白と遺書を残し、この世を去ってしまう。かず子は大切な家族を次々に亡くすものの、新たに心の支えとなるであろう自分の恋する人の子供を懐妊することで、苦難の戦後を誇り高く生きようと試みることになるのです。

この情景は、新約聖書のイエス・キリスト誕生をオーバーラップさせることで、受胎告知のあの神々しい天使の姿をほうふつさせています。そのことで、落ちぶれた貴族の家柄を浄化しようとする思いに、心打たれました。さすがに多くの読者に愛される、太宰の世界だと感心しするばかりです。中央線の荻窪、阿佐ヶ谷など、私も若い時にこの界隈に住みましたので、同じような思い出のある方は、身近に読める小説です。ぜひ一読をお勧めします。
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