「フランス料理のなぜに答える」で日本でもその名をしられるようになったエルヴェ・ティスと盟友ガニェールの初めての本です。ティスは物理化学者なので、試験管や注射器などを駆使した新しい料理法で注目を浴びるスペイン「エルブリ」のフェラン・アドリアたちと「いっしょくた」にされがちでありました。この本を読んでわかったのですが、ティス氏は確かに化学の知識をとり入れてはいるものの、必ずしも、伝統料理を否定しているのではないのですね。なぜ、定番の料理を「美味しい」と思ってしまうのか?そこをスタートに 新しい料理の可能性を模索しつづけているのです。ティスの出題する難解なテーマに振り回されながらも、きちんとその主題をレシピで表現するガニェールとの丁々発止のやりとりがユニークです。二人は「素材の持ち味」に寄りかかるのではなく、常に料理は進化するべきという共通の絆で結ばれているのがわかります。「料理は芸術である」とは、さすが、ブリヤ・サヴァランを産んだ美食の国フランスならではの思想です。ティスはガストロノミー文化をリードする第一人者となるでしょう。今後の活躍も楽しみです。