1958年に出た単行本の文庫化。初期の著作。
料理について書いた短文を集めたもの。昨今(1950年代当時)の日本料理界への批判、四季の食材、包丁の使い方、料理人として修行した日々の思い出、お茶漬けについてなど、さまざまな話題が並んでいる。
おもしろかったのは、修業時代のこと。ほかの著作ではあまり語られていないと思うが、少年時代の苦しい修行や父親のことなどが率直に綴られており、興味深かった。辻留の原典が意外に新しいところにあることに驚かされる。
四季の食材についても、現在とは使われているものや産地が大きく異なっており、不思議な感じだった。京都市内の深泥池でジュンサイを栽培していたり、つぐみやウズラが普通の食材だったり。
全体としては、箇条書きに近いような文章(特に食材や料理法についての箇所)が多く、イマイチ物足りなかった。