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「十月早稲田に移る 伽藍のような書斎にただ一人、
片付けた顔を頬杖で支えていると・・・」から始まる、
たった数ページの私=漱石と文鳥の世界。
まるで世界にこの鳥と私しか存在しえないような綿密な文鳥の描写。
漱石は猫といい、犬といい、この文鳥といい、動物を本当に面白く
「読ませるような」描写をします。
「昔美しい女を知っていた」と、文鳥を過去に「私」が好きだった
らしい女に見立て、ただの動物の写生文に終わらせません。
文鳥のしぐさを「菫ほど小さい人が、黄金の槌で瑪瑙の碁石でも
つづけ様に敲いている」ようだなどと描く漱石の狂気のような綿密さ。
大変過小評価されている「文鳥」ですが、漱石の随筆、
小品がお好きな方は是非読んでみて欲しい掌編です。
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