宮城県・岩手県沿岸被災地の、幼稚園生から高校生までの80人の作文集。子どもは勿論、活字が苦手な大人でもすんなり読める、貴重で歴史的な体験記になっています。鉛筆の粉で少し黒くなった原稿用紙のページには切実なリアルさがあり、子どもの息遣いや記憶を呼び起こそうとする真剣な瞳まで感じられる気がします。
あの日何があって、いかに日々をつないできたのかが、飾り気のない生の言葉で綴られていきます。溺れてゆく人やたくさんの遺体を目の当たりし、破壊された町の中で暮らしている子ども達の一体どこから、支援者への感謝、今までいかに幸せだったか気づかなかったという自省、復興に頑張りたい、やさしい人になりたいなどの前向きな言葉が出てくるのか、大きな驚きと深い感動を覚えました。
また、親や兄弟は勿論、祖父母や近所の人達への愛情もそこここにあふれていて、家族、隣近所の原点を改めて教えてもらった気がします。
でもなにより、津波が来た時子ども達はどんなに怖かったか、大切な人やものや故郷を亡くして、今でもどんなに悲しいのか、それにはっきり気づいていなかったことを思い知らされました。一部ではすでに行なわれているようですが、怖かったね、悲しいね、と恐怖と悲嘆の思いを静かに受けとめるグリーフケアなど、心の支援態勢の充実も急務なのではないかと思います。子どもは強くてもろい。なんとか未来に向かい、生き抜いていってほしいと祈るばかりです。