公害問題から地球環境問題まで、多岐にわたる環境問題の全般について、コンパクトにまとめてくれています。当方まさに100%の文系人間ですが(残念ながら学生ではありませんが。笑)、非常に分かりやすく、スラスラと読めました。環境問題の幅広な領域をもれなく取り扱っていますので、東京商工会議所のeco検定受験の際の参考書に使っても良いのではないでしょうか。
ただ2011年の現時点で考えると、生物多様性のテーマが取り上げられていないのは、決定的な欠点です。地球環境問題は生物多様性の視点から全体を見直すことによって、より一層、その本質的な理解を深めることが出来ると思いますし、また環境問題については、常に最新のデータに基づいて語ることが欠かせませんので、是非今後、最新のデータや研究成果を取り入れつつ、生物多様性の問題にまで範囲を広げて、新たな改訂版が出版されることを期待したいと思います。
環境問題は、今や自然科学の問題ではなく、社会制度や経済の仕組みの問題です。その意味では、環境問題の解決の担い手は、自然科学を対象とする理系の学生、理系の研究者だけではなく、むしろ経済学・法学・文学・教育学など、いわゆる“文系”の学問を学び、事務職・営業職などの“普通の仕事”に就いている人々が、広く、環境問題の本質を正しく理解していることが必要でしょう。その意味でも、わざわざ「文系のための」と銘打たれた本書のような存在は、非常に貴重なものと思います。是非、生物多様性の問題にまで範囲を広げて、より完全な形で、再度出版されることを望みます。