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文盲 アゴタ・クリストフ自伝
 
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文盲 アゴタ・クリストフ自伝 [単行本]

アゴタ・クリストフ , 堀 茂樹
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

世界的ベストセラー『悪童日記』の著者による初めての自伝。祖国ハンガリーを逃れ難民となり、母語ではない「敵語」で書くことを強いられた亡命作家の苦悩と葛藤を描く。

内容(「MARC」データベースより)

祖国ハンガリーを逃れ難民となり、母語ではない「敵語」で書くことを強いられた亡命作家の苦悩と葛藤とは-。世界的ベストセラー「悪童日記」の著者による、初めての自伝。

登録情報

  • 単行本: 110ページ
  • 出版社: 白水社 (2006/2/15)
  • ISBN-10: 4560027420
  • ISBN-13: 978-4560027424
  • 発売日: 2006/2/15
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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28 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
形式:単行本
 アゴタ・クリストフの三部作「The Notebook the Proof the Third Lie: Three Novels」を読んだ際、この小説の底知れぬ寂寥感に打ちのめされました。と同時に二転三転する幻想的物語の果てに待ち受ける、言い知れぬ妖しき美しさを体験したものです。

 そのクリストフの新作小説が、作者自身が前作よりは劣ると語っている「昨日」(早川書房)を除けば全く出版されていないのは、あの「体験」をもう一度味わいたいと考える私にとって、大変残念なことです。そういう状況下にあって、この「文盲」はわずか90頁程度の小品ですが、クリストフ独特の作風を十分伝える、まさにあの「体験」を与えてくれる書です。

「わたしは読む。病気のようなものだ」。
 この書き出しが、過去・現在・未来あらゆる時間を現在形で綴るクリストフのあの世界に私をあっという間にさらっていきます。

 ハンガリーの寒村で暮らす少女時代。幼い娘を連れたスイスへの亡命。言葉の通じない世界で文盲としての生活を強いられる日々。
 この自伝に、功成り名をとげた人物の達成感や高揚感はありません。疲労感や徒労感といったものが行間に滲み出るばかり。

 多和田葉子の小説「旅をする裸の眼」に登場する、東独からフランスへと旅を強いられた少女と、この「文盲」のクリストフとが重なって見えます。ドイツ語で綴る多和田とフランス語で綴るクリストフ。異語を駆使する二人の作家に共通した何かが存在するとしても不思議はないでしょう。

 とはいうものの、この「文盲」には、読むこと、そして書くことの喜びが通奏低音のように間違いなく存在しているのです。それが読む者の心に確かに響きます。

 「訳者あとがき」によれば、齢七十を越したクリストフに新作執筆の意志はもはやないようです。それが事実だとすれば大変残念でなりません。
このレビューは参考になりましたか?
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
100ページに満たないこの自伝は、ハンガリー人のフランス語作家アゴタ・クリストフによるものです。彼女の小説と同様に、叙情や郷愁、時には怒りといった感情を内に秘め、静謐な語調で淡々と自らの生が語られていきます。
クリストフは、1956年にソビエトの侵攻と圧制から逃れ、夫と幼い娘と共にオーストリアを経て、スイスへ亡命しました。彼女が21歳の時でした。それは、彼女が生を受けた国を永遠に失い、生を持続する上で呼吸と同様に彼女にとって不可欠な行為である「書くこと」を、フランス語という「敵語」で行うことを強いられることでした。「敵語」という一見不穏な響きを持つ言葉を用いる理由は、この自伝のなかで彼女自らが述べています。「この言語(フランス語が)が、わたしのなかの母語(ハンガリー語)をじわじわと殺しつつある」。亡命先のスイスで彼女はフランス語を習得し、フランス語で読むことそして書くことを続けます。工場での労働の後に、子育ての合間に。
そして、『悪童日記』(原題”Le Grand Cahier”の日本語訳として適切とは思えませんが)、『ふたりの証拠』、『第三の嘘』が賛嘆の的となり、重要な現代作家としての揺ぎない地位を確立します。しかし、彼女は幸せだったのでしょうか? ハンガリーが悲劇に見舞われず、母国語で、もしかしたらフランス語の時とは異なった文体で書いていたとしたら? このような仮定の話は無意味かもしれません。しかし、彼女がハンガリーで寄宿舎生活を送っていた時に書いた、静かで、叙情に満たされた美しい詩を読むと、そのようなことをつい考えてしまうのです。

昨日は、すべてがもっと美しかった、
木々の間に音楽
ぼくの髪に風
そして、きみが伸ばした手には
太陽。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「わたしは読む。病気のようなものだ。」
 冒頭から彼女、アゴタ・クリストフの言語感覚の深みに惹きこまれる。
「わたしは四歳。数日前から戦争が始まっていた。」
 この時期の、この世界の中に、『悪童日記』が孕まれたことを読者は予感する。読み進むにつれ、『悪童日記』と地続きの世界が、改めて浮かび上がる。
 難民になるということは、著者にとっては、母語を失うことであった。四歳からそれまでの時間が、「過去」となった。
「自分で選んだのではない」言語で書きながらも、「文盲」という強烈な自覚のもとに、著者は、「砂漠」を生きる。その歩みのうちに、『悪童日記』が生み出され、さらに本書が生まれた。
 その文体は、単純に見える。しかし、一つ一つの文に重い観念が宿っている。観念の表現としての事態の叙述には、一切のタブーがない。一般にタブーとされるもののみならず、日常的にやり取りされる言葉に潜むものをも抉りだす。まさに、明視の人である。
『悪童日記』の世界に心惹かれた人には、必読の書と言える。初めてアゴタ・クリストフに接する人にも、本に世界を望む人であるならば、決して期待が裏切られることはないと信じる。
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