わが国における文民統制が歪なものであり、それが何に由来するかを正確に指摘している。然し、本書は、軍備をただ危険なものと見なし削減し弱体化すれば足りると受け取られかねない立場で論じているため、結局偏ったいわゆる反戦平和と唱える人達と変わらぬ見解になってしまっているように思う。
確かに、軍事力という装置は、暴走すると危険な代物であり、如何に歯止めを準備するかが重大な問題であるが、他方、役に立たない軍事力であってはならないはずである。本書は、この後者を見落としている。軍事力を締め付けることばかり考えていると、やがて誰も本気で精強な部隊を育成しようとしなくなるばかりでなく、本気で暴走することを考え始める。それこそ最も避けなければならないことを本書は見落としている。