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文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)
 
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文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書) [新書]

サミュエル・ハンチントン , 鈴木 主税
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

日経ビジネス

普段何気なく戦前、戦後と言っているが、戦前の「大日本帝国」と戦後の「日本」は国家としては別の国家であることを、われわれはあまり意識していない。もっとも国家が違っても、領土、民族、文化などで核になる部分は重なっているし、昭和の元号も変わらなかったので、意識しないのも当然かもしれない。

ところでこんなふうに、筆者の頭脳には不向きなことをとりとめもなく考えているのは、ハンチントンの近著『文明の衝突と21世紀の日本』を読んだからである。

本書は新書版で手軽だが、内容的には大変なことが書いてある。構成は大きく3つに分かれていて、最初のパートのテーマは、冷戦時代とガラリと変わってしまった世界構造のなかで日本はどういう選択をするか、である。日本は過去、常に一番強いと思われる国に追随する戦略をとってきた。そして近い将来、中国が経済的にも軍事的にも強大になってきた時に、日本は、アメリカか中国か、追随すべき国の選択を迫られるという。

2番目のパートでは、唯一の超大国となったアメリカのとるべき戦略をテーマとしている。ハンチントンは、アメリカがパワーを保ち続けるためには、唯一の超大国であることをあからさまに押し出すべきではないとする。それをやると反アメリカ包囲網が形成されるという。

そして第3のパートでは、文明の衝突理論を簡明に説明している。1993年に発表されて世界的なベストセラーとなった『文明の衝突』を読んだ人も、もう一度本書のこの部分を読むと、今世界各地で起きている複雑な紛争の意味が理解しやすくなるだろう。

米ソ冷戦時代が終わって、世界各地で噴き出した紛争は、かつての国家間の紛争とは様相を異にした。いわゆる内戦とも違って、民族と宗教と文化が複雑に絡み合った国家横断的な戦争が始まっていた。『文明の衝突』はそういう時代の到来を鮮やかに予測していた。本書では、今起きている紛争を例に挙げて文明の衝突理論を解説しているのでよりわかりやすい。

国家とは別の枠組みで戦争が始まった。それは国家を超えて影響力のある文明間の対立だという。これからは、国家よりも文明の差異が世界の政治・経済構造では重要になるのだそうだ。ハンチントンは、日本を中華文明から独立した1つの文明としているが、それなら、あえて国家概念を明確にするより、曖昧は曖昧でそれを日本文明の特質とし、他文明との差異に敏感になった方がいいかもしれない。

(ジャーナリスト 野口 均)
(日経ビジネス2000/2/28号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)

出版社/著者からの内容紹介

世界的ベストセラー「文明の衝突」は21世紀の日本をどう予測しているのか。'99年に発表された最新論文2篇を収録し、豊富なCG図版で、“よくわかる文明衝突下の日本の進路”を提示する。

登録情報

  • 新書: 208ページ
  • 出版社: 集英社 (2000/1/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087200159
  • ISBN-13: 978-4087200157
  • 発売日: 2000/1/18
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 茘枝
形式:新書
 この本(「衝突」とセットでこの本と言います)の凄さは数々あれど、何と言っても冷戦以前にはイデオロギーと民族の二つだった国際関係の協調と対立の軸に、「文明」を付け加えた事です。それも第一の重要な軸としてです。こういうものが国策決定の枠組み基準として提案されるところがアメリカの凄さですね。
 解説で文明史の中西輝政先生が、「やられた」と歯噛みしているのが可笑しいです。
 これまで私にとって「文明」とは歴史の教科書に出てくるものでした。メソポタミア文明とかです。それが何故現世的な米国の政策や、我々の商売などに対して重要になってきたのか?
 この本を読めば、「西欧文明」の力の相対的な低下が、「その他の文明」との関係を(再び)重要な概念にした事が分かります。すなわち、我々は正に歴史の中に居るという事、著者の批判するフランシス・フクヤマ氏の言う「歴史の終わり」にいるのでは無いという事です。
 また、大東亜戦争の「文明の衝突」的性格、大東亜共栄圏思想の破綻は、当時の日本人の情熱にも拘わらず必然的だった事、結局その様な衝突の世界は、諸文明の相対的な勃興に伴い今になって実現したのだ、などという事が思われます。
 「文明の衝突」のダイジェスト+アップデートなのでこの本も勿論☆☆☆☆☆。
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書は数年前に一度読んで強く印象に残ったが、昨今の世界同時況やオバマ新大統領の登場であらためて国際政治感覚を呼び覚ますため、また頭を整理するために再読してみた。

本書の主張の一つは現代の世界での対立は、冷戦時代のイデオロギー対立から文明間の対立に変わってきたということであるが、私は人間社会に文明が生まれて以降、文明間の対立こそが本質であり、20世紀のイデオロギー対立は世界史のなかでも稀な現象であったと思う。その意味では、文明が一極化しようと多極化しようと、あるいはその混在状態であろうと、それらの間に対立が発生するのは極めて自然な現象であり、ハンチントン理論は素直に理解できる。

本書の二つめの主張であるアメリカのとるべき戦略として、多文化主義に埋没してしまい、米国創設の精神でかつ西欧文明の思想である自由・平等・機会均等・成長信仰・個人主義等の価値観を喪失してしまうことのないように警笛を鳴らし、西欧的アイデンティティ擁護論の立場をとっている。その意味ではハンチントンは真に典型的な米国保守派知識人なのであろう。ただし、そのような独自の価値観を無理に世界に広めて、勃興しつつある非西欧の反発を食らって孤立することのないように、西欧の比較優位な戦略としての一極多極システムの延命(あるいは将来の多極システムを見据えたプレゼンスの発揮)を画策しているのであり、この意味では徹底した現実路線派であるとも言える。

本書の三つめの主張である日本の位置づけは世界から孤立した特異な文明として書かれており、日本人としてはあらためて複雑な、そして一種の寂しさを感じずにはおられない。しかし、これが外部からみた客観的な事実であるならば日本人としては冷静に受け止め、むしろ他文明とのしがらみがない点をメリットとして捉えて世界と付き合っていく必要があるだろうし、世界紛争や利害関係の絡む人類的課題の調停者等の役割を担えるかもしれない。(その使命感があればだが)

最後に、今後世界が進むべき方向は理想的な表現にはなるが、1)宗教の相互尊重 と2)文明の相互理解 を行なって『違いの尊重』と『価値観の共有』を可能な限り推し進め、人類全体としての豊かさ(多様性)を追求し、もって将来に渡る平和的共存と継続的発展をめざしていかなければならない。
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22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書は、世界的ベストセラー『文明の衝突』の概略である。国際政治の主要な要因が、国家アクターではなく文明に求められる、というハンチントンの主張が、21世紀の日本の立場について鋭く指摘している。彼によれば、イスラム文明やキリスト教文明と違い、日本は日本文明を有する他の国家や地域を持たないため、将来孤立しうるというのである。ゆえに、中国の台頭が日米同盟に楔を打ち込み、日本は米国、中国のいずれかを真のパートナーとして選ばざるを得ない日がくるというのである。この主張は現実味を帯びているものの、大半の人たちには理解されていない。日米同盟を強く批判する人、また支持する人双方にとって、この主張はしっかり受け止められるべきである。しかし、ハンチントンの「文明の衝突」理論が具体性に欠けるせいもあり、啓蒙以上の意味がないのも事実であろう。そこまで認識した上で、将来の日本の立場を考えることには意味がある。
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