9.11から間もない時期に書かれた本。あのテロは純粋に外部からの攻撃というわけでは決してないこと、われわれ自身が「敵なるもの」を孕んでしまっていることを、イスラームとキリスト教・資本主義文明との相違を緻密に議論することで鮮やかに表出させています。
「普遍性」の追求は結局「無」に帰するにもかかわらず、それでも「赦し」による「アイデンティティの変容」によって、奇跡的に「普遍性」が到来するという本書結論部には感動させられます。
本書が書かれた後も、イラクでの戦争をはじめとして、多くの国際的な対立、紛争が起こっています。本書はこれらの問いには必ずしも答えるものではありませんが、本書での議論は、われわれが思考する端緒を与え、その思考が動き出すのを挑発してくれます。