相場の華やかさと冷酷さが混在した壮大なドラマ
優れた予知能力のあるAさんが、金儲けをします。
競馬、競輪、競艇…、第1レースから最終レースまで連戦連勝です。
株式市場では、個別銘柄、上場投信、指数先物…、その日の安値で仕掛け・高値で売り抜けます。
ただ、荒稼ぎの日々に浮かれていると、次第に…、
賭けのオッズは悪くなり、相場の動きは緩慢になってきます。
レースの結果や、相場の展開が、手に取るように予知できるのに、それを収益に結びつけるのが困難になってくるのです。
Aさんの成功術はライバルたちに知れ渡り、群集は彼と同様に賭け、
彼の動きを見ながら仕掛け・仕切るようになったのです。
成功パターンが模倣され、群集にまぎれてしまうことで、その収益性は陳腐化したのです。
ウォール街の羨望だったLTCMも、模倣に悩まされました。
模倣の及ばない分野への展開を余儀なくされ、流動性の低い相場でも巨大なポジションを積み上げました。
しかし、LTCMが弱味を見せたとたん、後を走っていたライバルたちは牙をむいて襲い掛かり、
LTCMをいとも簡単にその餌食としたのでした。(中略)
メリウェザーの言葉にあるように、LTCMの取引相手たちは、
自然災害を引き起こすことはできなくても、相場を自分たちに有利な方向に持っていく力のある相手だったのです。
そのため、取引相手たちの動きのモニターを、LTCMは怠りませんでした。
しかし、VARが機能不全を起こし、LTCMが雪ダルマ式に拡大する損失を抱えるようになると、
ウォール街全体が抱えていたLTCM的戦略は、雪崩のように崩壊し始めます。(中略)
「売り・買い」の判断が正しいだけでは勝てない…、相場とは複雑な人間模様です。
(原作者「あとがき」より)
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