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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
よい落語臭。,
By 常盤鐘鳴 (京都府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫) (文庫)
京極堂シリーズ『塗仏の宴』にこそっと出てきた「センセイ」こと多々良勝五郎と「俺」こと沼上蓮次の「事件簿」、ではなく、やはり「行状記」。何故「事件簿」と言い切れないかは読んでからのお楽しみ。趣向としては、ご存知天才絵師鳥山石燕の妖怪画、なかでも石燕が狂歌仕立てに拵えた妖怪画の絵解きに、我らが多々良勝五郎センセイが、事件に巻き込まれながら挑んでゆく、というものです。 主人公の二人は自他共に認める変人です。京極堂シリーズで変人といえば榎木津礼ニ郎が浮かびあがりますが、彼が超世間的な変人だとすると本作の二人は没世間的な変人。いずれ世間的には迷惑な存在には違いありませんが、本作の二人には迷惑承知で付き合ってみたいという親しみのようなものが(わたしには)わきあがってきます。その分だけ、同じ京極堂シリーズから派生した物語でも、『百鬼徒然袋』より『今昔続百鬼』の方が、わたしは好きです。 付け加えるならこの作品、どうも落語臭がするんですね。ドタバタコメディータッチなところもそうなのですが、まず人物設定があり、その人物設定を起因とする難儀・苦労が変に滑稽である点であるとか、その人物の酷く薄情な行為もその設定を通してみると大層な愛嬌に思える点などは、落語好きのわたしをすこぶるくすぐるところです。世間知らずな変わり者と多少世間知のある変わり者との取り合わせからして落語ですしね。京極先生が落語をお好きなのか、可笑しい文芸というものを突き詰めるとすべからく落語的になるのか、その辺のことはよくわかりませんが、落語臭フェチという方(変人?)も是非ご一読を。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
これはこれで,
By しゅう (愛媛県松山市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫) (文庫)
京極堂シリーズとは一風かわった京極夏彦の傑作。こんな話もあるのかと、京極先生の懐の深さにやられました。 軽いタッチでコメディとしても一品です。 一人でこそこそ笑いながら読める。そんな京極作品もありですね。 わたしはこれはこれで面白いと思いますし、むしろ好きですね。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
多々良先生を読む,
By 快読ブロガー (神奈川県伊勢原) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫) (文庫)
京極堂シリーズではあるが「多々良先生行状記」と銘打ち、多々良センセイという妖怪研究家が主役。「京極堂」はあくまでチョイ役でしか登場していない、別シリーズなのだ。物語は「妖怪」がテーマと、作者にしては珍しく直球勝負だなと読んでいると、そこはさすがの京極夏彦。ただの妖怪バカの主人公が、事件に巻き込まれてドタバタと騒動を起こし、妖怪について講釈を垂れるうちに偶然にも怪事件を解決してしまうというトリッキーなお話なのである。同じく妖怪好きの男を狂言回しに据え、二人で日本中の伝説や怪異を求めての珍道中を繰り広げるのだが、江戸の風物がまだ色濃く残っている戦後すぐの時代を背景に、相変わらずマイナーな妖怪たちに薀蓄を傾けている。このような物好きな作家が居なければ絶対埋もれてしまう地方色豊かな風俗、風習、伝聞を掘り起こし、その背景や起源まで解説していく博覧強記。急速に失われていく妖怪伝説をこよなく愛し、日本全体どころか世界全体が均質な文明に覆われていく現代を憂う感性。因習が差別や偏見と表裏一体であることを指摘できるバランス感覚。さすがである。 また、個性豊かな「京極堂シリーズ」のキャラのなかで、多々良センセイは特に魅力的というほどのキャラではないが、愛すべき主人公の一人なのである。
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