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あとがきにもあるように著者は決して大正教養主義を、ナチスへの加担を、旧制高校のエリート主義を断罪してよしとしているわけではない。ただ、それなりに優秀な独文学者たちがそれなりに誠意をもって仕事に取り組んでいるさまを、若干皮肉交じりに著しているだけである。筆致が淡々としている分、ここに書かれている独文学者たちの悲哀が切々と感じられてくるというものだ。しかし、それを笑ってしまう読者としての自分はいったい何なのだろう?
「文学部をめぐる」と題されているように、独文科を含む文学部という学部において、哲学、文学等の非社会科学系の学問を専攻・研究している者達が、社会性を欠き(ないし社会性に無頓着であるがゆえにかえって)視野狭窄に陥ってはいないだろうか? という、現代的な問いを投げかけているのである。
個人的には、まだまだこの本に書かれたようなホモソーシャルな男性中心の(独)文学体質の問題を知ることができ、
もっと他のかたちもありえるはずだ、と相対化することができ、参考になった。
文学部を志す人、文学部に入って違和感を感じている人には是非読んで欲しいが、最も読んで欲しいのは、今の文学部の体質に満足しきっている人、疑いすら抱いたことのない人たちである。
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