この本における文士とは、料理を愛し、冒険心を持って未知の料理に立ち向かい、
そのくせレシピ至上主義で腰が引けたまま厨房に立つ厄介な作者本人です。
英国人らしく文章はウイットに富んでおり、各エピソードも思わず吹き出すものもあります。
今日も、レシピの曖昧な記述を罵りながら、厨房に立つ作者の姿が見えるようです。
その割に評価が今ひとつなのは、一言で言えば読みにくいため。具体的には、訳が上手くなく
原文(英語)が透けて見えて、日本語としてはちょっと小骨がのどにつっかえる感じなのです。
文士が苦労したレシピの解読作業を、読者にもさせたかったのならアリなのでしょうが、
翻訳ものの灰汁が取り切れていないのは、料理エッセイとしても残念な話です。