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文壇アイドル論 (文春文庫)
 
 

文壇アイドル論 (文春文庫) [文庫]

斎藤 美奈子
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   文壇、などといういささか古風な言い回しに、アイドルという単語をぶつけてくるところが著者の痛快さだ。その小気味よさは、むろん本書全体の切り口とも重なる。

   ここで「文壇アイドル」と呼ばれるのは、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫の8人。いずれも1980年代から90年代を中心にマスコミの寵児となった人々だ。これらの著作者がどのように語られ、受け入れられたか(またはおとしめられたか)を追い、彼らスターを生み出した背景について考えようとする。著者の言い方を借りれば、「作家論」論ということになる。

   その視点は、知的で公平、そして少し意地悪だ。村上春樹作品にちりばめられた謎の解読に血道をあげる批評家たちは、ロール・プレイング・ゲームになぞらえて「文学オタクのハルキ・クエスト」といなされ、吉本ばななはコバルト文庫など少女カルチャーの末流と解釈、「文芸作品というより……キャラクター商品に近い」と位置づけられる。かと思えば、林真理子と上野千鶴子が「男社会」の中でいかに対照的な受けとめ方をされたか解き明かし、作家として黙殺されることの多い田中康夫の批評性を的確に指摘する。

   そうした個々の作家の捉え方もおもしろいが、世の価値観が揺らいだ80~90年代という時代がこれらのアイドルを必要とした、という分析がなにより鋭い。本書は文化論であると同時に、すぐれた時代論でもあるのだ。(大滝浩太郎) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

出版社/著者からの内容紹介

村上春樹に村上龍,吉本ばななに俵万智,みんな文壇村のアイドルだった-書評・作家論からゴシップ記事に至るまで周辺の膨大な資料を渉猟し,1人の物書きをアイドルに作りかえる時代の背景に果敢に切り込む.林真理子,上野千鶴子,立花隆,田中康夫の豪華キャストでおくる. --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 318ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2006/10)
  • ISBN-10: 4167717085
  • ISBN-13: 978-4167717087
  • 発売日: 2006/10
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (26件のカスタマーレビュー)
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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:文庫
2002年岩波書店から発売された単行本を文庫化した作品。俎上に載せられたのは、村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫の8名。

この評論集は、著者がはじめに書いているとおり、「作家論」論であり、文壇アイドルとなった(彼女が名付けた)作家達を通じて語られる80年代90年代の時代論でもある。「作家論」論だから当然、作家とその作家に関する評論の両方を論じなければならないので、かなりエネルギーも要るし、余分な敵も作るんだろうなぁと余計な心配をしたりもする。

批評家だとか評論家が書く文章は回りくどくて難解なものが多い。簡単な言葉で済むものもわざと難しくしているんじゃないのか、と思ったりする時もある。著者の評論には難解な言葉や言い回しはなくわかりやすい。例えの上手さ(評論家としては大事な資質だと思う)、斬新な切り口(斬新過ぎるときもあるが)、そして何より深刻ぶってけなすのではなく笑い飛ばしてしまうような余裕がいい。

著者の評論はどれもそうだが、評論の対象となる人物や作品を知らなくとも読み物として面白い。この作品もそうである。そして、まな板に載った人物の作品(たとえそれが貶されていたとしても)を、何故か読んでみたくなる不思議な評論である。

文庫化に際し、彼らの近況にも触れ、それに対しての評論が加筆されているのだが、村上春樹のようにノーベル文学賞に手が届きそうな作家もいれば、何も変わらない人、原点に帰った人、そして田中康夫のような人もいる。著者に“文壇アイドル”と名付けられた人達のその後も、“普通のアイドル”と同じく人生のサイクルが早いようである。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
流行の80年代論と違うのは、きちんと文献にあたった後の処理が上手なこと。その辺のこの人の「臭覚」は信頼していいと思います。『妊娠小説』以来、ブンガクの中身よりも形式を重視すること、しかも社会的な文脈をきちんと押さえたうえで、一人よがりにならないほどよい政治性を保つこと。余計なお世話ですが、これだけ資料を読んでどうしてこんなに「健全」な精神状態を保てるのだろうと不思議になります。

本書だと、まず80年代のちょいバブルな空気を押さえており、比較対象の選び方が上手で(例えば村上春樹と村上龍を比較しない)ぐいぐい引き込まれる。もちろん、ブンガク畑の人には作品読解が弱いと言われかねませんが、この人たちの作品論はあふれているので、あえて踏み込まないのも「ほどよい政治性」です。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By もが
形式:文庫
は斎藤さんご自身が作品中で書いてあるとおり、この本は作家論ではなくて作家論を考察する作家論論という形式をとっています。

作家論が書かれた時期と、その時代の様子をうまくリンクさせていて楽しく読める本でした。

実は私は村上春樹さんの「ノルウェイの森」のよさがまったくわからず、吉本ばななさんの「TSUGUMI」にもなじめなかったのですが、その理由がおぼろげながら見えてきた感じです。

とりあえず田中康夫さんの「なんとなくクリスタル」は近いうちに読んでおこう・・・なんてことを考えています。
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不覚にも涙
評論家の本のレビューを書く幸せ。
コアな斉藤ファンには承知のことかもしれないが、たまに新聞で書評を読む程度の... 続きを読む
投稿日: 15か月前 投稿者: われてもすえに
このシニカルな文芸評論家は,本質を突くので面白い
この本はどんな本かというと,次のような本である。
次のうち本当の歌人俵万智の歌はどれでしょう... 続きを読む
投稿日: 19か月前 投稿者: Gori
時代が語る日本の文学という文脈
文壇アイドル論 斎藤美奈子 岩波書店 2002

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すこぶる明快で面白い
まず、端的に論旨が明快です。「作家論論」だと著者もいうように
取り上げられている作家、作品がどういう論じ方をされていたかを... 続きを読む
投稿日: 2008/7/12 投稿者: 白頭
俵万智論が素晴らしい
あまりレビューで触れられていないが、個人的に読後一番印象に残っているのが、俵万智についての文章。詳しくは読んでいただく方がもちろん良いのだが、端的に言えば俵万智に... 続きを読む
投稿日: 2008/7/9 投稿者: 陸遜
アイドル論(偶像的な意味で)
泡銭なんていらない 神話崩壊なんていらない
私たちはただゲームとして春樹を読みたいだけ

権威なんていらない... 続きを読む
投稿日: 2008/7/5 投稿者: 村のオオカミ
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