文化遺産に関する論文をまとめたこの本。
旅行に行ったり、博物館に行ったりすると目にするサマザマなモノ、
これらのモノはなぜ保存され展示されているのだろう?
それは私たちには何でも保存したいという欲望があって、
あらゆるモノを集め、
学術的な知識によって整理し、
永久保存を目指した結果であり、
人間のこれまでの歴史を一望にしたいという欲望の結果である
と本書では教えてくれます。
反面、学術的に保存することは
それまで、特定の人にとって独自の意味を持っていたモノが
回収され、学術的な意味の中に埋め込まれることで
地域的、個人的な意味をモノが失っていく過程でもある
と指摘されています。
終章では、
学術的な意味と地域的な意味の境にある対立や矛盾、
それを乗り越えるためのヒントが示されています。
博物館や旅行好きな方が読むと、
これまでとはまったく違った角度からモノを鑑賞できるようになるのでは?
また本全体に様々な文化遺産(無形遺産、負の遺産含め)が取り上げられ、
写真もふんだんに使われているため、
それだけでも旅行気分で楽しめます。
ただ論文を集めた本なので、
多少、難解な用語が出てきたり、値段が高めだったり、
学術的な素養を求められたりするかもしれませんが・・・
それでも
あらゆるものを保存しようとする現代が
どのような時代で、
どのような問題を抱えているのかを知るために一読に値する本だと思います。