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社会科学系の出版社としては日本の中でトップの有斐閣から出されていることからも注目され始めた学問であることは間違いないのだろうが、今後、経済学の一領域として認知されていくかどうかはまだまだ疑わしい。
この書においてもいくつかの課題が置き去りにされたままである。
まず最大の課題として「文化」というものがいったいどのような領域であるのか、研究者の中でも一致していない。
従来の経済学では「GNPの増大=生活の向上」と考えるような「狭義の経済」的利益だけで人間の幸福は計れないとする立場から「文化経済学」は登場してきた。
しかし、安直に「文化」という言葉で括ってしまうことで、逆に何でもかんでも、たとえば日本においては無駄の権化のようになっている現在の公共事業でさえもそれが「文化」であるならば肯定してしまうという危険性を孕んでいるのだ。
もうひとつは、さまざまな先行研究の中で「文化」活動、特に実演芸術は、人的資本にかかるコストの割合が大きいため、営利化することは困難であり、何らかの(公的)支援が必要であることがほぼ実証されている。
そのことに対し、「公的」に支援することが必要であるという議論が本書だけでなく、多くの「文化経済学」関連の書物で展開されているのだが、そこでの「公共性」の議論が不十分なままである。
そういった今後乗り越えるべき課題を提示しているという意味でも、「文化経済学」に興味のある人間はまずは読んでおくべき著作であろう。
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