ヒップホップねえ、まあ興味ないことはないんだけど、あのゴールドチェーンなマッチョがビッチをはべらせて車を乗り回して「俺が最強だぜメーン」とか「仲間を傷つけたお前は許さねえぜイェー」はちょっとなあ……という人(つまり私のような)初心者を対象に、ヒップホップの誕生から語り起こし、どの地域でどういうジャンルがあり、ということをわかりやすく論じている。
淡々と概観するだけではなくて、対談ならではの遊び心に富んだやりとりがおもしろい。ラップと政治性・精神性なんかを結びつけて論じたがる人がいるけどそうじゃないよ(そもそも単なる言葉遊びだよ)、というのは爽快だし、ユダヤ人が顔を黒塗りすることで「黒人を演じる白人」を「偽装する」、つまりユダヤ人から白人へと格が上がって云々、というのも興味深い(「偽装」をキーワードにアメリカ音楽史を歴史化する、というのは大和田『アメリカ音楽史』の主題らしい。読もう)。
ほかの音楽ジャンルが好きなだけに、街中で耳にすると気分を害してさえいたヒップホップだけど、これを機にずっと親しみを持つようになった。早くもNas、Eric B. & Rakimあたりはツボか……(ギャングスタ・ラップはやっぱりちょっと時間がかかりそう)