本書は現代中国史の中で狂気の時代と言われた文化大革命について、三つの視点から書かれた解説書である。
第一部の「文化大革命の十年」では、文革とは何だったのかを時代を追いながら総括している。第二部の「毛沢東思想の夢と現実」では、文革のナゾの核心に触れるため、文革を引き起こした張本人である毛沢東の思想に迫る。第三部の「文革の推進者たち、被害者たち」では、文革の主要な登場人物に分けて、その栄枯盛衰を追う。
文革を理解するキーポイントの一つに、「毛沢東は死ぬまで第三次世界大戦不可避論に立脚していた」ことが書かれている。「革命によって帝国主義が打倒されないかぎり、戦争はなくならない」と狂信していたとするとするならば、不可解な文革の成り行きが多少なりとも理解しやすくなる。1966年に「大きな学校」という「1958年に提起した人民公社構想と酷似している」組織形態を持ち出したのは、彼の「人民公社路線への断固たる確信」の現れであり、それは彼の夢でもあった。と同時に彼の空想的社会主義の限界を示すものであった。
第三部の主要登場人物「紅衛兵」「江青と葉群」「林彪」「劉少奇」「周恩来とトウ小平」は、誰一人とて欠かすことのできない文革の犠牲者たちである。彼ら一人ひとりにスポットを当てて解説しているところが本書の特徴であり優れた点であると思う。