傑作「文人悪食」の続編。前作同様明治から昭和にかけて活躍した小説家、詩人等37人の食生活から彼らの人間像を描き出した作品である。一人物につき15ページ程度の枚数であるが内容が非常に濃いのも前作同様である。
食べるという『欲』から描き出された作家達はどれも人間くさい。チョット普通でない人もいる。特に明治、大正時代の作家達はアクの強い人物が多い。
著者は主に彼らの作品や関連した文献から、食べ物に関する作品あるいは記述を探し出して、作品を批評し、その作家自体を描いていくのだが、著者の枯れた味わいの文章と合わさってなんとも言えない作品に仕上がっている。特に著者が交流のあった作家よりも、参考文献だけで書かれた作品のほうが出来が良いように感じる。余分な知識と感情移入がない分想像がよく働くのかもしれない。
著者にしてみれば趣味と実益を兼ねた作品なのであろうが、前作とあわせて10年をかけた力作である。巻末に示された参考文献はどれもが古い。絶版が殆どなのだろう。著者が古本屋漁りをしている姿が目に浮かぶようである。
作家論とも作品論ともエッセイとも言えない著者にしか書けない作品である。今回取り上げられた作家達は、誰でも知っている作家を取り上げた前作よりも小粒かもしれないが、内容はまったく落ちていない。取り上げられた作家の作品が読みたくなる傑作である。