本書は、2004年9月に経済産業省に設置された「企業価値研究会」が2005年5月27日にとりまとめた報告書と、同日、経済産業省と法務省が公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」について、経済産業省経済産業政策局産業組織課の担当者の講演録、指針本体、企業価値報告書本体および研究会での委員が提出した資料等を収録した書物です。
企業価値研究会では、法的観点と市場における受容性という2つの観点から、買収防衛策について諸外国の状況もふまえた総合的かつ包括的な整理と問題提起を行うことをめざしてきましたが、3月7日に論点公開の骨子を公表し、4月22日にその本体を公表して意見照会を行いました。そこでの考え方のポイントは、「買収には良い買収と悪い買収がある、良い・悪いは企業価値を基準として考えべきである、企業価値を高める買収は実現されるべきで企業価値を損なう買収は実現されるべきではない」という点にあります。
上述したように、企業価値研究会は最終報告書を5月27日に公表しましたが、報告書は、意見照会に対して寄せられた各種の意見を踏まえてさらに検討した結果をとりまとめたものです。また、報告書の公表と同じ日に「指針」も公表されました。「指針」は、もちろん法的な拘束力はないが、実際には影響が大きいものです。
新しい会社法のもとではさまざまな防衛策が可能となりますが、「可能となる」という意味であって、裁判所で差止めを受けないという意味ではないし、上場会社に向かないとして取引所等で受け入れられないおそれもあります。「指針」や取引所の「要請」の役割がそこにあるともいえますが、日本では、しばらくは試行錯誤の時期が続きそうである。
買収防衛策をめぐる日本の状況は、激変しつつある時期にあり、このような状況のなかで、報告書と指針は、関係者の必読文献であるといえます。
本書は、連日徹夜に近い仕事ぶりで報告書と指針のとりまとめにあたった経済産業省の担当者の講演を収録しており、報告書と指針を理解するうえで重要な書物であることはもちろんのこと、担当者の熱意が伝わってくる貴重な歴史的な資料でもあります。
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