この種の書にありがちな権威主義的な態度が余り感じられない点が良い.またこれまでの一連の彼の著書に見られる,学習者の目線に立つ事に徹する姿勢を貫いている事に好感が持てる.今回は高校数学を扱っているが押さえるべき点はしっかり押さえている.ただ,本書と同趣旨の間地秀三著「高校数学がまるごとわかる」より扱っている項目は幾分多いが,紙幅の都合からか数Iの面積・体積比,数Aの平面図形,数IIの図形と方程式,分数式,数Bの漸化式,数Cの二次曲線など触れられていない項目も多く(但し微積分に関しては一応数IIIレベルまで言及しているのでそれはまあ良いのだが)画竜点睛を欠いた感は否めない.やはり少なくとも数I・A・II・B全般には触れて欲しかったが,これらは今後相次いで出版されるであろう「語りかける高校数学」シリーズの続編で取り上げられるだろうから,そちらにも期待したいと思う.そういった意味で,本書は「語りかける高校数学」シリーズの予告ハイライト編と解釈できるのかも知れない.