Standard & Poor’sが米国債の格付を下げた。華々しく登場したオバマ大統領だったが、議会とのネジレによって、政策推進に急ブレーキがかかったたことが、経済低迷の原因の一つとも言われている。だが、米国経済を支えている富裕層からの政策への反発やマイノリティー出身の大統領の孤独感が事態を一層困難にしているのではと感じないではいられない。
本書は、数学的思考で経済活動をわかりやすく解説してくれる。「人々の幸福の追求こそが社会の目的だ」と経済学者は説く。政権交代を果たした現政権は「最小不幸社会」と打ち出した。国民はきっと政府は、伝家の宝刀を抜いて、閉塞感を打破してくれると、少しばかり期待していたが、未曾有の震災と原発事故が起きてしまった。貨幣経済の社会の中で地域や家族の絆、思い出など形がないものの価値を考えた人も多かった。
この本には、今の日本社会が抱える課題−デフレ経済からの脱却、子ども手当てなどの4K政策など日本の明日を考えるヒントが沢山あった。特に、ミルが提唱した「豊ではあるが、せわしさのない世界」が今の私にはしっくりきた。
後半の物語の重要性で村上春樹のエントロピー(位相)の分析はとても興味深く、説得力がある。