原題は『数学MATHEMATICS』。邦題のサーバントの訳は奴隷、召使と言うより、やっぱりお助け役、輔佐役とでもした方がよかったかな。
内容は現代数学に関わる全般を網羅している。大学の専門学部で習う事全てが出ている。
数学で院生や研究者になろうと思えばこれらの諸分野の何か一つ、どれか一章の中の一節に絞らねば進みようがないだろうことを全二十章にわたって総攬するのだから、一般向けにも関わらず博覧強記と言ってもよい。ちょっと駆け足過ぎるもののこのくらいでないと立ち止まって数年は過ごしてしまいそうな事ばかり。このくらいの方がちょうどいい、疲れ心地のする読み物になっている。
本書を中学高校時代に読めば、大学の数学、抽象数学にすぐ馴染めるはずだ。現代数学が整然とした精錬洗練されたものと感じるか、何か個別の思想家の思想の寄せ集め、概念の乱立競合のままにどのレベルで考えているのかもともすれば判らなくなるジャングルのようなものと感じるか、実は両極端の印象すら同時に思い描いてしまうのだろうもののがそれでも数学とはそういう歴史的に継承された種々の概念の製錬場でもあるという実状をまず第一に教えてくれる格好の入門書である。
下巻では数論、解析(微分方程式、関数論)が扱われる。