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数学は工学の期待に応えられるのか
 
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数学は工学の期待に応えられるのか [単行本]

有本 卓
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

工学にとって、数学は道具である。しかし、そもそも工学で期待される数学とは何だろうか。物理学で期待される数学とはかなり違う。工学は、物理のように自然のなかの根本原理を明らかにしようという学問ではないからである。いろんな制約条件のもとで、最適な答えを出すのが工学の目的だ。すなわち、工学は、いわば文脈依存的にならざるを得ないのである。本書によって、工学の中に新たな数学的構造を見出し、新しい学問分野を開拓できる数学研究者群が生まれることを期待したい。

内容(「MARC」データベースより)

数学者・深谷賢治を相手に議論を交わし、同時に、通信理論やロボット工学の中で、いかに数学の論理構造が見出されるかを自ら示す。まったく新しいスタイルで、工学者が今日的問題の正否を問う!

登録情報

  • 単行本: 235ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2004/7/29)
  • ISBN-10: 4000055267
  • ISBN-13: 978-4000055260
  • 発売日: 2004/7/29
  • 商品パッケージの寸法: 21.2 x 15.4 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 955,950位 (本のベストセラーを見る)
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By yoshik-y トップ1000レビュアー
形式:単行本
 一般的に数学の応用とは、物理で求められるそれだと考えられている。応用数学でもそのような捉え方がされている。さらに、工学は物理の応用であるから、工学でもそれで必要十分であると考えられている。しかし、工学では、物理とは違った数学構造が求められることを示した本。

 例題内容にやや偏りがあるが、本質はどの工学分野にも通じるものがある。特に最近は工学と数学が乖離し、新しい数学分野が生まれにくくなっていることを考えると、工学者だけでなく数学者に読んで欲しい本。

 簡単なところでも、「方程式は解かなくても良い(場合によっては解かない方が良い)」、「ε-δの重要性(工学には重要だ!)」などという著者の指摘は、方程式が解けさえすれば事足りる、ε-δは実数論にしか使わないので数学科にしかいらない、というような最近の風潮が間違っていることを教えてくれる。この部分だけでも読む価値があるだろう。

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形式:単行本
 本書は工学の問題から生まれた数学を語る。扱われる話題は全9章に及んでいて、各章で独自の哲学と方法論を持った数学が展開されている。評者にしても本書の全部の話題を理解できた訳では全くない(其々にかなり難しい。評者がそれなりに理解出来たのは1〜2章位である)。だが本書を読んで、工学の様々な分野でかくも面白い数学が研究されているのだと実感しかつ大変楽しませてもらった。

 工学のモットーは「使える物を納期通りに造る」事であると思う。従ってそこでの数学が、理学としての数学と異なる容貌を持つのは当然だろう。本書に述べられるどの理論でも最終的に「物」が造れなくてはならないという制約は常に付きまとう。その部分を不自然に感じる方もいらっしゃるかも知れない。しかしその制約の部分こそが工学の数学の真髄たる部分であるし、最も興味深い部分なのだと感じるのである(「物が造れる」というのはかなり厳しい要件なのだ)。例えば第3章で述べられた受動性が第4章で線型システム理論に用いられ、さらに第5章でロボッティックスに応用されて行くところなどは、工学の数学の躍動感を感じさせ多くの方々の興味を呼ぶ部分ではなかろうか。

 このように本書はとても面白い本なのであるが、一つ大きな不満がある。それは「数学は工学の期待に応えられるのか 」という書名である。なぜ「工学のなかの数学」とか「物づくり数学への招待」(ありきたりだが)とかにしなかったのだろう。この書名では「工学」の期待に応えるべき「数学」という名の別の何物かがあるように見えてしまう。本書で述べられている諸理論はそれぞれが一つの立派な数学だと思うし、評者には本書を敢えてこのように挑戦的な書名にした理由が解らないのである(日本では「数学者」が研究する数学の範囲が狭いというのは衆知の事実ではあるけれど…)。

 内容如何に拘らず、この書名では理学寄りの読者のみならず工学寄り読者からも支持を受けられないのでは無いかと評者は怖れてしまう。本書の試みがとても良い試みだと思うだけに。
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