感性(芸術)と論理(数学)とは水と油のように思っている人が多いのでしょう。あるいは芸術は暖かくて、数学は冷たいと。しかし、人が身の回りを見るときには、感覚器官は数学的な処理をしていると考えるの方が素直な考えではないかな。綺麗な構造物、ある種の絵画・彫刻などには、数学つまり幾何学的な合理性があると思います。また、日用品、本の大きさ、文字の形(動的な要素を感じますが)、ポスターなど絵と文字のバランスや配置など、なんらかの安心感(使いやすさや読みやすさ)を得るためには、揺るぎない基礎があると思います。本書は、自由な感性ということを信じている人が無視したくなる数学的合理性を芸術家の立場から解説しています。
著者も断り書きを入れていますが。数学についての議論には弱い面もあるし、誤解されているように感じられる記述もあります。著者が、数学に関しては2次資料(解説書の解説書など)に頼っているせいもあるのでしょう。とくに、第1章の説明が安定していないが残念ですが、それを差し引いても、特徴のある解説だと思います。教養の1冊として芸術/美術、また流行のDTP/イラストレータなどの学生や社会人にも読まれるよいと思います。