1970年、日本の政治の季節が終わる頃に書かれた数学の啓蒙書。全二十章、各章は分量が少ないながらもそれぞれ内容が濃厚に詰まっている。数学の各分野の考え方を一から十まで表そうとするのではなく、その考え方の最低限のあらましと共に、そんな考え方が生み出されていく当時の思想や科学、社会や国家や国際関係の状況を併せて語っているのが特色で、歴史に強い興味がある自分としては楽しめる記述の仕方だった。18世紀ごろの話題からは理解しづらいところが多くなってきたが、この著作一冊で数学の全てを知ることが出来るわけでもないだろうから、他の著作を併せて読んで理解していけたらと思う。この著作に盛んに引用されている数学者集団ニコラ・ブルバキの「数学史」が読んでみたくなってきた。
後半は難解になるが、近世ぐらいまでは非常にわかりやすい内容になっていると思う。数学に興味がある人にも、歴史に興味のある人にもそれぞれアピールするところがあるのでは。