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(1)数学オリンピックで優秀な成績をおさめる子供達が低学年のころ「公文式」
をやってきていることが多いというのは、意外であり興味深い。
(2)子供達に難問を与え5分後に「今何を考えているか?」と問いかける指導方法は
実に面白い。
(3)「公理とはなにか」という問いかけから「本当の理解」とはなにかに至るまでの
叙述には目を洗われる思いだ。
(4)図形問題は「目」で解け。頭の中のイメージで解く訓練をせよというのは至言で
あろう。
ところどころに出てくる本音が面白い。たとえば・・
「おそらく、中学入試なんてなければ、日本の子供の論理的能力、洞察力はもっと
伸びている(p36)」・・子供の入試を経験して、本当にそう思う。
ただ「数学は暗記だ」なんていう露悪的な言説に一部でもくみする態度は止めて欲しかった。
さて著者のいう「数感」とは
・・・頭の中に数や図形や状態を思い浮かべそれらを頭の中で操ることができる
「イメージ能力」。「構造化された記憶」を自分の世界として持ち、その世界の中で
絶えず自問自答し、問題を拡張する工夫を凝らし、未知のものをあれこれと言い換えて
は自分の世界に取り込もうとする「位置づけの能力」・・・(p221)、以上を通し
て、何よりも「面白さ」に気づく感覚(感動)のことであろうが、これは受験数学を
終えて何十年も経つ私にも充分うなずけることである。
日本の受験数学界の中核で活躍している数学の先生が、このような本を書かねばならない
状況に考えさせられてしまう。主張はきわめてまっとうである。卑俗な本(数学に限っても)が多い中で、
珍しく志が高く、一気に通読してしまった。
巻末の10問もなかなか面白い。
私が感動したのは、第3章の、位置づけ能力の項での、「わかるということがどのようなことかわかってもらう」ための喩え。数学の説明をするのにこういう喩えが使えるのかと、ワクワクするような感動を覚えた。
私には小1の子供がいるが、この時期にどんな訓練をしたらいいのかということも、しっかり書いてあった。(その内容は本書を読んでのお楽しみに取っておこう。)それは、科学に裏打ちされたものではなく経験的なものということだが、数学オリンピックのメダリストを育てている著者の経験というだけに、説得力がある。
数学が少しでも好きだったと言える大人には楽しめる書であり、幼児以上の子をもつ親で、子供を数学好きにさせたいという人には、必読の書。
または子どもがいて子どもに数学ができるようになって欲しいと願っている人
にとってこの本はヒントを与えてくれるだろう.
といって,それについての具体的な処方が書かれているわけではない.
実際のプログラムは,氏の次回作を期待したい.