すごく面白い本でした!
数学というものがどのように発展してきたかについて、数学の概念的な側面を歴史に沿いつつ解説しています。第一章では数学の基礎的概念として整数から実数、変数と関数について語り、第二章では歴史的な経緯として離散的な数学から関数で連続した変数を扱い微分積分が成立してきた過程を解説しています。概念的には、数学が実数の連続性を獲得していく過程とも読み取れました。
所々ではε-δ論法や微小面積の総和として積分が定義される箇所に数式を使用した証明などが出てきますが、高校まで数学をやっていればそれほど苦ではないように感じます。
それ以上に、数の概念的な背景の解説のあとでε-δ論法が出てきますが、非常に理解しやすい印象でした。大学では学生に敬遠されているものなのにです。歴史的な数概念から入っていくとε-δ論法の必要性と意義がはっきりするのかもしれませんね。
また、微積分の創始者として(当たり前ですが)ニュートンとライプニッツが上げられていますが、その微積分にたいする哲学の違いが明確に書かれているのは初めて読んだので、非常に新鮮でした。流率として無限時間が流れて行く中での物体の運動を記述するニュートンとモナド哲学を背景に無限小からの発想するライプニッツ。微積分学の創始者の二人とまとめられるとわかりずらいですが、やはり際立った個性的かつ天才的な二つのアプローチであることがわかります。
そのほか、無限の取扱いを物理的なものから切りはなし、数学の中で扱ったオイラーや微積分学の数学としての確立に貢献したコーシーの解説なども簡易ではありますが、ものすごく分かりやすく魅力的な解説になっています。
このように数の概念から、「何故それらが明確にされなければならなかったか?」という視点で数学を語っていくのも、数学を理解する一つのアプローチだと感じました。
ただ、志賀先生の筆力があってこそな気がしますので、この本限りのことかもしれません。
志賀浩二先生の著書というと「30講シリーズ」や「中高一貫の数学氏リース」などの題名は知っている程度でしたが、他の書籍も読みたくなりました。非常に数学に対しての造詣が深く、それらを平易に語ることのできる稀有な方だと思います。
数学に興味のなる方、老若男女を問わずお薦めです。