本書は、「数学で未来を予測する」というタイトルですが、内容的には未来予測の要素は少なく、「数学を使って、正しい判断力を養う」という感じの本です。
主には、(a) 自然現象、自然法則を数学で把握する(ニュートンの万有引力の法則など)、(b) 確率の考え方(ギャンブルの「必勝法」は本当に必勝法足りうるかを検証)、(c) データから統計学的に仮定の真偽を判定する(検定と推定など)、(d) 経済現象を理論によって予測できるか(金融工学の予測の確からしさを検証)のように、いくつかのテーマを取り上げています。
数学に関する本なので、読む人のレベルによって理解度が異なると思いますが、文系で高校時代に数学を学んだだけの私が読んでも、(一部理解できない部分はありましたが)けっこう楽しんで読めました。特に上記(a) (b) (c)についてはいずれも入門的な知識を用いているものの現実の事象に対する判断に、実際に数学を活用しており、なかなか興味深い記述です。
私は、これらの知識を一応もっていたものの、それぞれをバラバラに認識していたのですが、「正しい判断に至るアプローチ」について整理して考えることができ、有益でした。
なお、私は楽しめましたが、「理系で数学をよく使っている」というような人にとっては入門的すぎるのかもしれません。一方、「高校時代の数学で、確率はチンプンカンプンだった」とか、「標準偏差って何?」という人には読むのが困難な本だと思います。