著者らは日本語学担当の大学教授で、日本語研究のかたわら、外国人留学生に日本語を教える仕事もしている。そういった活動の成果もふまえて、従来の「尊敬語・謙譲語・丁寧語」を再分類して、外国語としての日本語を学ぶ人にも分かりやすいように敬語のルールを整理しなおす必要があると説く。
その最たるものが「謙譲語」で、従来「自分の位置を下げることで相手への敬意を示す」と短く説明されてきた謙譲語を、本書では「自分の位置は下げないで、相手の位置を上げる」用例と、「自分の地位を下げ、相手の位置は上げない」用例とに2分類している。前者が活躍するのが、目上の人の行動を表現する際にも謙譲語を使うことがある、という、従来の単純な説明では辻褄の合わない実例である。(ちなみにこれは、古文でいう「2方面敬語」が現代語にも生き残っている例である。)
そういうわけで、「敬語は一通り無難に使いこなせるけれど、なぜそれが正しいのか、あるいは使ってはいけないのか、うまく説明できない」という人にお勧めしたい。敬語法を初歩から教える本ではないし、「すぐ使える実例集」の類でもないので、接客マナーとして敬語を身に付けたいというような人には他の本をお勧めする。