設計・施工請負会社の年下部下×美人上司。作者曰く「初めての王道BL」。久々にBLで大泣きしてしまいました…。
主人公・如月は、有能で性格もルックスも良い、傍目には完璧な男。大親友もいるが、哀しい背景のせいで「失う」ことを極度に恐れ、恋愛には無欲かつ慎重に生きてきたゲイ。ところが、密かな片思いの相手である部下・里見も実はゲイで、やはり別な男に片思いしていることが分かった夜、成り行きで寝てしまう。そこから里見との曖昧な関係が、そして幸せで苦しい日々が始まる…。
年上ぶってセフレでもいいと自分に言い聞かせ、現状維持(場合により退却)の気持ちと前進したい気持ちの間で揺れ動く如月。優しくてのびやかで、でも末っ子らしい子どもっぽさやちょっぴりの無神経さもある里見。
確かに定番ではあるけれど、里見の心情は読者にまる見えというわけでもなく(読み返すと、ああこの辺からどんどん心が動いたのね、と分かるのですが)、里見の片思いの相手がまた実に良い子なので、こちらとしてはかなりやきもきさせられます。
一方で物語の後景には如月が暮らす小さな家があって、この家には彼の孤独が隅々まで染み込んでいる。そこへ飛び込んできた里見の明るさ、鮮やかさが、季節を映す瑞々しい庭と共に、如月の孤独をまた余計に際立たせ、胸がつまります。
こんな如月に感情移入し過ぎてしまい、クライマックスでは彼と共に大泣きでした(表紙のロボ犬を見ただけでもう涙目です)。
儚げな題名がまた、切なくも幸せな内容を暗示しています(題名の意味は最後に分かるようになっています)。
さて、本書には、とっても嬉しい「おまけ」がついています。なるほどこう来たか!という感じ。ほろ苦くて、あったかい。実は一番泣かされたのはこの部分でした…。
だから「あとがき」は絶対先に読まないで下さい!