近頃の教育論議というと「いじめ」「青少年の犯罪激化」「学歴」「体罰」「個性を生かす」・・・などのワードが挙がってくるだろう。
だか、これらの言説は果たして昔からそのようであったのであろうか。
本書は、戦前までさかのぼって議論を掘り起こし、現在の教育論議の位置付けを再構築していく。
例えば、「学歴」というと今は「本当の能力」との対比で議論されることが多いが、「学歴」という語が用いられ始めたころは「藩閥・縁故」との対比だった。
また、「早期選抜」が今では「受験とは違う観点で」というニュアンスで運用されているのに対し、昔は「受験秀才をさっさと引き上げる」という目的だった、等々。
個人的には、体罰やしつけをめぐる、学校と家庭との関係性の変化を論じている第3部が一番面白かった。
当初は「学校は進歩的であり、家庭をも含めて啓蒙していく」という姿勢であり、家庭も教育を全面的に学校にゆだねていた。それが次第に家庭で教育をする人が増えてきて、学校は「余計なことをするな」と干渉してくるようになった。
こういう文脈を添えて学校をめぐる言説の変化を見てみると非常に興味深い。
逆に言説の対比のみをしている最初の「教育的」についての議論は割と退屈だった。だからここで飽きても我慢して後ろまで読み進めてほしい。