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教育改革の幻想 (ちくま新書)
 
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教育改革の幻想 (ちくま新書) [新書]

苅谷 剛彦
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

日経BP企画

教育改革の幻想
 日本の教育改革の柱とされている「ゆとり教育」「子供中心主義」に疑問を投げかけ続けている著者。現在の学級崩壊や学力低下などの問題を解決するのに今の教育改革を推し進めるのは、火に油を注ぐようなものだという。

 そもそも「学歴社会が招いた受験競争が生徒・児童を疲弊させ、教育問題を引き起こしている」という前提を疑うべきだと唱える。「暗記ばかりの詰め込み教育」「画一教育」という言葉とともに、その実態が十分に検証されることなく「罪悪」として国民的合意に至ってしまったのだと指摘。

 それに代わって、国民が諸手を挙げて受け入れたのが「自ら学び、自ら考える力を育てる教育」などのキャッチフレーズに代表される教育改革論である。聞こえはいいが、その失策が招いた学力低下や現場の混乱は深刻だ。著者はその原因を文部科学省を中心とする改革論者の「読み」の誤りに求める。

 新たな方策を見いだすためには、戦後日本の社会階層の変化、少子化、学校の役割の変化を子細に検証することが重要だとし、時代の推移に伴う学習時間の比較など独自のデータを示す。また、現代に適合する教育改革を全国均一かつ一斉に実施するには無理があるとも指摘。文科省には施策の分権化も視野に入れよと提言する。


(日経ビジネス 2002/02/11 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

二〇〇二年度より新学習指導要領が実施される。この要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」であるが、この教育方針は本当に子どもたちのためになり、学校を再生するに足るものなのか?また、受験や詰め込み教育は本当に罪悪なのか?さまざまなデータを検証し、教育と日本社会のゆくえを見据えて緊急提言する。

登録情報

  • 新書: 222ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2002/01)
  • ISBN-10: 4480059296
  • ISBN-13: 978-4480059291
  • 発売日: 2002/01
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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By MM
形式:新書
1989年と2001年の全国学力試験データをまとめた調査報告を作成した苅谷剛彦氏の著書。ゆとり教育が推奨された根拠となるデータを紹介し、その解釈が不適切であることによって政策自体が失敗であった可能性を言及している。約200ページではあるが、多数のデータが紹介されたじっくり読むべき書。

内容を見ると、著者の検証データは紹介されていないものも含めると膨大であり、きわめて時間をかけて検証されている。最近の教育論者の書には、主観的な意見が中心のものが多い中、本書は基本的な統計データを素直に解釈した根拠をもとに主張を述べている。学習に関するデータの信憑性を疑問視する意見があるからといって、それを否定しイメージだけで政策を決定するのでは、オカルト信仰や予言を信じるのと大差ない。本書での指摘を例に挙げると、ゆとり教育の目的が『全員が理解できる教育』としているのであれば、到達目標を下げるのはまだ理解できるとして、教育時間まで減少させるのでは本末転倒であることは素人にもわかりそうなことだ。また、もともと勉強しない子供が週休2日で増えた休日に自主的に勉強するわけないことくらい想像できない方がおかしい。脳科学分野からみても、九九などの知識記憶は幼少時のほうが圧倒的に覚えやすいことなどが判明しているし、将来必要な問題解決能力である『知恵』は『知識』をどう操るかで、『知識』の量に依存することは自明である。数学0点で東大文系に合格できること自体受験が目的化している証拠だが、統計も学んでいない者がまともな政策決定などできるわけないと思う。

本書には著者が書ききれない行間が多数存在していると思う。表やグラフをじっくり読んで、自分の意見を持って本文を読むことを勧める。著者の努力と現時点で最も説得力ある根拠を示し、それを普通に解釈していることから、推奨度は高い。同氏の他の著書からも信頼性は高い。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mfhty トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
(1) 学力低下論争のあおりを受けて軌道修正を余儀なくされた「ゆとり教育」であるが、そのゆとり教育を2002年1月出版の時点で「教育改革の幻想」と見通した本。

(2) 本書で主張されている主な事項は次のとおり。
 ○ そもそも、ゆとり教育の前提となっている「過度の受験競争」は存在しない。
 ○ ゆとり教育によって、家庭での学習時間は減少している。学力の低下もみられる。
 ○ ゆとり教育は、正しい現状分析を行ったうえで実施されたものではない。
 ○ 「総合的な学習の時間」のように、子供の自主性に委ねる授業は必ずしも有効な授業法ではない。

(3) 「子供の自発性に委ねなければ真の教育効果はあらわれない」というような論調が多い中で、このような考え方が現実的でないことを、日本の教育の変遷、アメリカとの比較など様々な観点から論証している。全体を通じて、データを客観的かつありのままに分析し、理詰めで論理展開しており、説得力がある。

(4) 「ゆとり教育」賛成・反対にかかわらず、昨今の教育論争を正しく理解するためにぜひ読んでおくべき本だと思います。
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14 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 「受検競争が・・・」だからゆとりが必要という前提そのものが間違いで、ゆとり教育の必要性は、実はこうしたミスリードから出てきたものであるという視点はまさに目からウロコ。

 ゆとり教育の実態は、下層家庭の子どもたちから学びを奪うことであり、それによって、学力中上位の子のみが恩恵を受けるという、まさに階層固定化という憂うべき事態を招く事につながる。

 公教育の役割、公立学校のあり方について、一石を投じる。
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