1.この書籍は、その成立に深く関わった井上毅氏を通して、教育勅語の本質・意義を
鮮やかに浮き彫りにした良書である。
2.昨年3月11日の東日本大震災により東北地方中心に人命、財産両面において
我が国は未曾有の大痛手を被ったが、その際
1)自分の危険を顧みず、水門閉鎖、人々の避難・誘導にあたり、はからずも散華
された多くの消防団員、警察官、消防士、また宮城県南三陸町で防災放送を担当され
最後まで避難誘導放送をまっとうされた遠藤美希さんをはじめ役場職員の方々
2)避難所で順番を守り、列をつくって少ない食料を平等に分配し、感謝の意を
表わされた被災者の方々
3)福島第一原発では目には見えない放射線被害を受ける恐れのある事故現場に赴き
原子炉冷却に邁進され、また地震・津波の被災地では懸命に死者・行方不明者の
捜索・救援にあたられた自衛隊員、消防隊員、警察官等の方々
4)震災当日、鉄道がストップした大都会で、徒歩で家路を急ぐ人々に対して、
休息所やトイレを進んで提供された沿道の企業・商店・学校等の方々
5)被災地の復旧・復興に現場あるいは後方で支援にあたられた、また現在も
あたられているボランティア・企業等の方々
の中に「教育勅語」の本義が日本人の心のDNAとなって受け継がれていることが
明らかになった。
3.教育勅語は、明治維新後、文化的・政治的混乱を背景とした学校現場混乱期において
明治天皇が「政事上」の勅語ではなく、宗教を超えた条理を純粋にお言葉そのもの
として国民に示したものである。
外国においても高く評価されており、様々な面において道徳がほころびつつある今日
(老人の孤独死、親殺し・子殺し、若者のニートやひきこもり、教育現場の混乱、
子供たちの方向性喪失、モラルなき政治の横行等)、原点に立ち戻り、我が国
道徳・経済倫理復興の礎として再評価・再構築すべきである。
「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」との至言があるが、近くをはかるのに
傾き過ぎ、人間が創造した道具である通貨に振り回されつつある現在、ほころんだ絆を
コツコツと1つ1つ結び直し、随処に主となるべきである。