教育者、指導者は「支配欲」「変形欲」に捕われてはならぬ、実に考えさせられる言葉だ。筆者は能動的(攻撃的)に「教育」の押し売りをするのではなく、受動的な姿勢でも生徒が群がってくる、そんな魅力的な教育者たれ、そして、そうあるためには永続的に努力をし続けよ、と主張する。会議、採点、委員会や地区、部会の活動などの雑務に追われている現場レベルで考えると理想論であり、実現の難しい主張もある。しかし、その理想に向かう姿勢を忘れて教育者でいることは筆者の言葉を引用するまでもなく「罪悪」であることも確かだ。そのあたりのトレードオフの関係が最も頭を悩ます問題であり教育者としての個人的な資質が問われる部分である。構成の支柱部は「対人関係能力・コミュニケーション力の向上方法」「〜力」「理想の教育者像とは」であり、具体的なメソッドの分量は比較的少ない。尤も、そこを差し引いても、筆者長年の主張が濃密に詰まった次世代の指標となるべき「教育論」であり、非常に丁寧に作られている良書だ。「教育者は文化を支えてる」この言葉に代表される、これから教育者を目指す方や、教育者として歩止まりな状況にある方の心を熱くするキーワードが至る所にちりばめられている。また、上司として部下の指導方法に頭を悩ませてる方にも良い刺激を与えるのではないだろうか。その他、人を指導、監督、教育、啓蒙する年齢や立場に達し、それらの原理原則と正しい方向を知りたい方々にも是非読んでいただきたい。