とても平たい表現で書かれていて、ときどきこれはエッセイかしらと思ったりしたけど、教育経済学に出てくる基本の部分は人的資本論、外部効果、ピアグループ効果などの用語も含め説明されています。 「教育は投資と消費の両方の特徴を持っている(子どもの将来への投資の面と親がとりあえず子どもに教育を受けさせることで安心、満足するという消費の面)」と言われると、そういわれればそうだよなあと思ったり、「子どもに教育を受けさせれば受けさせるほど、その子どもの能力が明らかになり、できる子とできない子を振り分けるという世知辛い面をもっている」みたいな事が書いてあると、よく考えればそうだなあ、でもそれって親はつらいよなあと思ったり、経済学的な視点から教育を見ることは教育をある意味客観的に冷静にみる上でいいことだと思いました。
本の後半の格差の問題、階級や学歴の「再生産」(カエルの子はカエル、お金持ちで学歴が高い家の子は学歴が高くなり、貧乏な家の子は学歴が低くなって貧乏を繰り返す)の部分は読んでいて切なくなったけど、現実のところ世の中はそうなっていると思う。
私は教育は基本的人権で、経済学的に説明できなくても人生を豊かにするものだと思っていて、「ゆとりの時間」には反対だけど「生きる力」というビジョンはアンビシャスだけど良いと思っているので、この本でいくつかの点でちょっとひっかかったけど(でも著者の言うことはやっぱりごもっともという感じでしたが)、著者は教育の経済学的考え方では説明できない部分も理解尊重していて、その面には好感が持てました。
欲をいえば、たびたび出てくる数式やグラフを説明するときに、なにか具体的な例をあげて説明したり、グラフを比較したりしてほしかった。 一般論を説明したグラフや数式ををみてもなかなか実感がわかなくて、自分が理解しているのかしていないのかを判断することすら難しいというか(きっと理解できていないということでしょうね)。 数学の基礎も忘れ、「経済学という授業をたぶん大学で受けたかもしれない」ぐらいの記憶しか持っていない私には、数式とグラフの読みが厳しかった。 例えば「A子さんの場合とB子さんの場合」とか、「このグラフの中で、インドはこの辺、日本はこの辺、フィンランドは。。。」見たいな具体的な事例があると、もっと取っ付きやすかったかもしれない。 もしかしたらそんなことはできないのかもしれませんが。。。
もう一つ言えば、日本ではどうやら教育効果や経済学的に教育を評価するために必要な統計をきちんととっていない、あるいは公開していないようで、著者も言っているように著者の論理をサポートするデータに基づいた実証分析がされておらず、その部分でやはり今ひとつ説得力に書ける部分も少しありました。
とても面白かったです。 でも教育って奥深いんだなあと思いました。 優しい財政学の本や社会保障の経済学の本などを少し読みたくなりました。