国籍を有しないものが、何故国費によって教育を受ける
権利を有するのか。法理、歴史を元に著者は論証を試みて
いるが何れも、説得力の有る議論になっていない。
莫大な財政赤字を有する現在、自国民の福利厚生もまま
ならない中で、国籍を有しない者に対して何故、教育を受
ける権利を与えなければならないのか。自分の都合のよい
学説を引用した法理や既に国家間で解決済の戦後補償を持
ちだしたとしても何れも論拠には成りえない。
日本に生まれ、日本に居住することを望みながら戦後長
期に渡って外国籍を維持していることに疑問を持たず、朝
鮮学校への援助を求めることに問題はないのだろうか。帰
国も選択肢の一つとして維持し、外国籍のまま本国の文化
アイデンティティを維持するのならば、本国の支援を受け
ながら自己責任で行うべきだろうし,教育を受ける権利を
主張するのならば、永住権に留まらず国籍を取得した上で
国民の権利として教育を受ける権利を論ずるべきであろう。
実際に朝鮮学校で有益な教育が行われ、社会への貢献が
なされている実績があるとしても、日本国や私企業の自主
的な意思決定によって様々な援助優遇策が朝鮮学校に行わ
れることと、朝鮮学校側から支援を受ける権利を主張する
こととは全く問題の性質が異なると思われるが如何だろう
か。