この本は,一般的に「遺伝子」と呼ばれているものについて,より詳細な説明が書かれている。遺伝子とは,親から子へと伝わる情報の総称であり,それはDNAの一部でしかないとのこと。つまり,遺伝子とDNAは,厳密には同じものを指しているのではないとのこと。また,DNAというものは,パソコンのハードディスクのようなもので,そこに情報が保管されているが,それだけではどうしようもないということだった。そして,タンパク質はDNAの情報から製造された物質で,パソコンではディスプレイやプリンタなどの出力装置に相当するという例えは,非常にわかりやすい。また,その両者だけでは生物としては不完全で,それらをコントロールするためのRNAが非常に重要な役割を果たしている。特にこの本はそのRNAについて言及されている。また,RNAは,パソコンではCPUに例えられていた。RNAについての詳細な解説については,生物を専攻していない私には少々難しい内容であったが,DNAを解読するだけでは不十分で,このRNAについての研究をさらに行わなければならないということが,素人の私にもよく理解できた。
また,RNA(リボ核酸)とDNA(デオキシリボ核酸)の違いが,DNAの方がRNAに比べて酸素が一つ抜けているde(否定)oxy(酸素)という意味であること,現在は個人のヒトゲノムの解読に1,200万円かかるが,2年後には10万円になっているという話なども非常に興味深かった。
全体的には,難易度はやや高い内容となっているが,ヒトゲノムやDNAについて興味がある人は,非常に楽しめる内容である。この本を読んで,今後医療や創薬の分野が,遺伝子治療を取り入れ大きく変化することが,リアルに予測できる。