副題の「なぜ、教師はここまで追いつめられたのか」の方が、本の内容をよく現している。
実は、ここに書かれている「学校で何が起きているか」「驚くべき教師の実態とは」は、全く新しい情報ではない。確かに新聞(特に全国紙)ではあまり書かれていないが、簡単に見られるインターネット情報、巷にあふれる「教育雑誌」には、この手の話が山と載っている。「第三者による(少々興味本位な)中途半端な教師批判」が、現場教師の負荷とストレスを高める一因になっていることは、容易に想像できるだろう。
なぜ、教師でも塾の講師でもない私がこういう話をするかというと、社会一般の風潮、例えば「法令遵守至上主義=法の精神の歪曲」「数値目標の明確化とその結果のみに基づく報酬=行き過ぎた成果主義」「階層別管理の徹底=チーム力の著しい低下」が「職場の活性力(現場力と言った方がよいか)」を阻害していること」をいろいろな実例で知っているからである。
「次代を担う子供相手の教育現場」に、いまや経済界でも見直しの声が上がっている「新自由主義」を入れたら、その害毒は計り知れない。ここまでは著者の意見と全く同じである。
この本の問題点は「第四章」と「第五章」にある。「教育再生会議の示す提言と緊急対応法」に意義を申し立てるのはいいのだが、「具体的な対案」が明示されてない。悪くいえば「戦後民主主義黎明期」へのノスタルジアととれるのだ。
著者は長らく教壇に立っていたのだから、豊富な経験があるはず。例えば小学校の新任教師が陥る「学級崩壊」への具体的な対処方法、ベテラン教師でも見逃す中学校での「いじめと生徒の自殺」の早期発見・防止方法を、実例をあげて(むろん個人情報は出さずに)開示すべきである。