本書は、最初のページにも書かれているように、「これから教師を目指す
人や、いま教師のスタートをきったばかりの人」を主な読者対象として、
教師にまつわる様々なことを広く語った本である。
著者は19年間国語の中学校教師として教鞭をとり、現在は大学にお勤め
でいらっしゃる。本書では、著者の経験が長かった中学校教師時代の経験が
中心に書かれている。
文調は、意識して平易に書かれているため、読みやすく、数時間で読破できる。
内容は、「教育とは」、「教師になるには」、「教師の魅力」、「教師に
必要な力」、「クラスをつくるとは」等、教育職にまつわることについて、
広く扱っている。
確かに、教師を目指している人、教師という仕事に興味や関心がある人
には、教師という仕事の全体像が見える点で、有意義な本である。
読みやすさの点からも、最初に読む本の1冊として適当な本であるだろう。
ただ気になることとしては、本書の内容は主に著者の経験をもとに書かれて
いるため、ややテーマから拡散してしまっていると感じるところがあったり、
「大学の先生が書かれた本」としては、著者の経験をもう少し学術的な観点
からの収束があってもよかったのではないか、と感じる。それは、決して
本書の読者対象である「これから教師を目指す人たち」を離すものではなく、
実践と研究の両面からの視点を与えることの意義に繋がるからである。
この点において、経験を積まれた先生方には物足りなく感じるかもしれない。