イギリスで子ども達から愛され1970年代から長くロングセラーを続ける人気動物絵本シリーズの日本で刊行された徳間書店版の3冊目の栄えある「1976年度ケイト・グリーナウェイ賞特別推薦作品」です。
教会ねずみとのんきなねこのサムソンが一緒に仲良く暮らす町で新しいビルを建てる工事が始まりました。自分達の住みかから追い出されたどぶねずみ達が教会にやって来て教会ねずみ達にいきなり襲い掛かり強引に追い出してしまいます。散歩から帰った頼みのねこのサムソンでさえも上手くしてやられてしまい、教会ねずみのアーサーとハンフリーらの仲間達は何とかリベンジして居心地の良い住みかを取り戻そうと、わるものたいじの作戦を練るのでした。
今回も学者ねずみのハンフリーは相変わらずみんなをうんざりさせる才能を発揮しまして、戦いに勝つ事よりも自分が演説で詩を朗読する事の方が大事だと考えているみたいで苦笑させられます。それにしても、ねこのサムソンはお散歩の途中で連想ゲームみたいに3つの物からササッとインスピレーションを得て、まさしく天才的な作戦を思いつくのですから真にたいしたものだなと思います。また食料調達係りとしても大活躍し、お昼寝中のワンコからエサを拝借したり、釣り人の餌をこっそり頂いたりする抜け目のない腕前もお見事その物で、前足を上手に使った仕種には自然に笑ってしまいます。肝心の勝負の行方は良く考え抜かれたネコと教会ネズミの天晴れな頭脳の勝利!と大いに感心しますし、でも作者は単純に楽勝でおしまいにはせず、最後に危機一髪からの救出劇のハラハラドキドキするサスペンスも味わわせてくれますので、私としては本当にお腹一杯で大満足しました。そして最後の最後に、とんでもない乱暴者とは言え今回の工事の被害者でもあるどぶねずみ達を労わり思いやる決着のつけ方を読みまして、作者の公平無私な優しさを感じ静かに感動致しました。
本当に何度読んでも面白くて味わい深いシリーズだと思いますし、旧版の入手は今では非常に困難ですので、今回の刊行が人気を呼んで徳間書店さんから今後も更に続巻が出版されます様にと期待しています。