『山の郵便配達』のフォ・ジェンチイの三作目。
映像的には『山の郵便配達』と同じく山里の美しさが際立ってます。
どの画も写真に封じ込めてもサマになるくらい美しい。
ストーリー
北京の大学に進学して今では妻子もいる男ジンハー。
彼が10年ぶりに時が止まったかのような故郷に帰る。
そこで再会したのはかつて将来を誓い合った初恋の女ヌアン。
泥と汗と生活の疲れがへばりつき、
明朗快活で京劇の役者を目指し、
その美貌で将来を嘱望されていた彼女に一体何があったのか?
さながらミステリーの様に二人の過去、
そして彼らの物語の完全に脇役であったはずの男、
聾唖の男ヤーバの物語が交錯する。
最初、見ていて決して知的とは言えず、
何か獣の臭いの漂ってきそうなヤーバに嫌悪感を抱く。
しかしだんだんと霧が晴れる様に見方が変わってきます。
その嚆矢が『この娘、父親っ子だから』というヌアンのセリフ。
そんなに悪いヤツじゃないかもしれないと少し安堵する。
(だって子供を虐待する悲惨系だったらキツイなって思ってたから)
そうしてヌアン、ヤーバ、その娘、そしてジンハーの四人の邂逅は緊張感をはらみながら様々なものを映し出します。
ヌアンの微笑みをたたえた優しい眼差し。
アメの包み紙を水に浮かべてキラキラした目で見つめる娘。
ヤーバのジンハーに対するいくばくかの劣等感と優しさ。
『なんでこんな男と結婚したんだ』と言いたげなジンハーの傲慢さ。
動けば動く程空回り、
まったく相手につたわらないヤーバのもどかしさに息が詰まりそうになります。
そしてラストへとなだれ込んだときには決壊しました。
止めどなく溢れてきました。
原作の『白い犬とブランコ』はもっとパンチが効いて、
ドロッとした情念が渦巻き、
映画の雰囲気とは大分違います。
映画を先に見たのですが原作読んでぶっ倒れそうになりました。
先に原作を読むと映画のカタルシスを素直に味わえなくなるかもしれません。
それはかなりもったいない。
読むなら映画を見た後にした方が...
何なら読まない方がいいかもしれません。