経歴が異色な著者である。
生年
'1964年 奈良県大和郡山市に生まれる
学歴
'1988年3月 同志社大学文学部英文学科卒業
'1996年5月 The School of Public Policy, The University of Michigan卒業 (公共政策修士)
'2003年3月 新潟大学大学院現代社会文化研究科 (博士後期課程) (経済学博士)
職歴
'1989年4月 奈良県大和郡山市役所
'1990年4月 旧労働省入省 (国家公務員'T種試験行政職)
'1994年7月 人事院長期在外研究員制度でミシガン大学院留学
'1996年7月 旧労働省職業安定局高齢・障害者対策部企画課総括係長
'1998年6月 旧厚生省生活衛生局指導課課長補佐 (法令担当)
'2000年4月 新潟県総合政策部情報政策課長
'2003年4月 厚生労働省大臣官房国際課課長補佐 (ILO条約担当総括)
'2004年4月 公募により兵庫県立大学 大学院 応用情報科学研究科 助教授に
「脱藩官僚」ほど政治臭はせず、首都圏有名大学教員ほど権力志向も無い。「公正な自由市場」で通用した自信が無理の無い論述を生んでいる。
民主党が唱えた「政治主導」「脱官僚支配」の中身を吟味し、現在霞が関とその周辺で繰り広げられている価値を生まない攻防戦の意味を歴史的に位置づける。
特に出身官庁である厚生労働省には、今なお独自の情報ルートを持っているものと思われる記述がある。
日本政治における「拒否権プレーヤー」の比重の推移に関する分析は、肯ける。また著者オリジナルとする「切る政治」「生み出す政治」「恵む政治」「分配する政治」に関しては、更に細部を書き込んで欲しかった。
過大な「官僚支配の残像」との「戦い」にエネルギーを費やする一部政治家の消耗戦に、最終章の「民主党のための「政官財学情操縦マニュアル」」を贈っている。
著者の論理に登場する「日本政治の磁場」の変化を生み出せるかが、今後の政治を前進させる上での課題となるのであろう。
「右であれ左であれ我が祖国」であり、今後いかなる政権が成立しようとも、何らかの官僚組織が必要である限り「官僚操縦マニュアル」と利害調整システムとその担い手が必要となる。その現代的展開を考える上でヒントになる一冊です。