筆者にとって邦訳三大UFO本とでも呼ぶ良書が存在する。まず筆者の大好物である『UFOと宇宙人 全ドキュメント』、そして早くもUFO史の最重要古典の地位を築いた『人類はなぜUFOと遭遇するのか』、そして本書『政府ファイルUFO全事件』である。
タイトルだけ見ると、UFO陰謀論の匂いがぷんぷんするが、ぜんぜんそんなことはない。主にアメリカの情報公開法以降の機密解除文書を元に、年代ごとのUFOシーンを追っていく構成となっているのだが、これがまたいろいろと太くて面白いのである。
どんな具合かといえば、例としてUFO神話が妄想によってドロドロになる前、1942年〜1982年までの4章を見てみると、単にUFO事件の解説だけではなく、機密解除によって判ったこと―たとえばCIAが無関心を装いながらもUFO情報を集めていたり、空軍がなかなか明かさなかったこと―を元に、UFO史の裏側で(外側というべきだったが)、政府側がどのように関わっていたのかなどを解説していたりもする。この、UFO史という流れにおいて、政府がどういった関わり方をしていたかを妄想なしで解説していくあたりが、本書の面白さの一つであろう。
多くのUFO本では低い評価しか受けない「コンドン報告」を、UFO研究史上画期的という、極めて妥当な評価をしていることも注目に値する。そう、悪名高いコンドンレポートであるが、読んでみれば判るように、不満足な点はあっても、非常に貴重で充実した研究であることは認めるべきものである。それを正当に評価するピーター・ブルックスミスは、さすが本場のフォーティアン、一味違うというべきか。
とにもかくにも、UFO現象に興味を持つ者ならば、本書は必読・必携といっても過言ではない。