本書は小泉総理時代に、自民党の「コミュニケーション戦略チーム」略して「コミ戦」が、
いかなるメディア対策を行い、その結果がどうであったのかを検証した書籍である。
個人的には特定政党がメディア対策を組織的に行うこと自体はアメリカなどでは当たり前のことで、
それ自体を私は問題とは思わないし、本書で提示されている「コミ戦」の行う活動自体も、
「世論を捻じ曲げる」というような類のものではなく、どちらかというと「自民党の主張をストレートに国民に伝えたい」
というような印象で、予想よりも遥かに正当でソフトな手法であるように感じた。
本書のタイトルが示すとおり、著者は「報道内容が政党によってコントロールされてしまう」ことを理由に危機感を募らせ、
その影響力の甚大さを提示し、国民に警告するというような主旨であるのだが、何か読んでいて妙な感覚に陥った。
と、いうのもそもそも「コミ戦」がマスコミをある程度操作できるのは、マスコミ側が「コミ戦」の発表する内容を
ロクに考えもせずに、丸のみしているからであって、本来自民党が組織的に何を行おうとメディアが常に中立性を保ち、
各自が独自に取材や検証、事実確認を行っていれば、その影響力など知れたものだと考えるからである。
つまり「選挙報道が操られる」のは、単にマスコミが本来するべき仕事をしていないから、というだけのハナシであって、
問題視されるべきなのは「コミ戦」よりもマスコミの自堕落さだろう。