03-10年に渡り,月刊『ジェイ・ノベル』に掲載されていた8編をまとめた短編集です.
タイトルやカバーイラストからもわかるように学園を中心に展開されるミステリで,
探偵兼語り部を務める主人公をはじめ,登場人物のほとんどが高校生となっています.
そのせいか会話など全体の雰囲気は明るく,ドタバタと賑やかに物語は進んでいきます.
とはいうものの,日常の謎のような軽いものからなんとも驚かされる大胆なものまで,
そのバラエティに富んだ仕掛けや,はじまりから周到に織り込まれている伏線の数々を,
コミカルなやり取りを交えつつ,理詰めで紐解いていく様子は読み応えがあり楽しめます.
また,解決したと思ったら実は…が多く,物語としてのおもしろさもよく練られており,
いささか使い古された感のある題材もあるのですが,最後まで飽きずに読み進められます.
ただいきなり,そしてその後も続く野球絡みのネタなど,ユーモアのセンスについては,
著者の出世作『
謎解きはディナーのあとで』とは,かなり毛色の違うものとなっています.
むしろこちらが真の姿(?)のはずなのですが,最近この作家さんを知った方はご注意を….
逆に気に入ったという方,実はこの作品はいわゆる『スピンオフ』的な扱いとなっていて,
本家は『鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ』として,
こちらと
こちらの2作品が発表されています.
(ただし,この作品の主人公は名前がチラリと出てくるだけで全く登場はしないのですが…)